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[有機化学Ⅱ]2023東工大院試の過去問解答を無料公開!

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皆さんは、

東工大院試に向けて過去問を解いているけど、難しい!

過去問の解答が欲しい!

と思っていませんか?

この記事では、2024年入学東工大の物質理工学院応用化学系の有機化学の問題解答について、解説していきます!

問題(Ⅱ-1)はこちら(東工大ホームページ)からダウンロードできます。

ぜひ、問題を解いてから読んでみてください!

こちらの解答は正式なものではなく、筆者が出した解答ですのでその点には十分注意してお読みください!

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目次

Ⅱ-1(1)

p-ニトロ安息香酸とp-ブロモ安息香酸

解説

酸の強弱を見分ける問題で、有機化学大問Ⅰでも出てきたようにこのような問題は頻出です。

この記事でも書きましたが、酸・塩基の強弱を見分けるために重要なのが『電子密度』

電子密度が低いほど、塩基は攻撃しやすいのでその酸性度は高いと言えます。

つまり、今回の問題ならばp位に電子を求引するような置換基があると、酸性度は高くなります。

選択肢のうち、

メトキシ基・ヒドロキシ基→電子供与基

ニトロ基・ブロモ基→電子求引基

なので、p-ニトロ安息香酸とp-ブロモ安息香酸が安息香酸より酸性度が高いと結論づけることができます。

(脱水剤などにより)反応系から水を除去する

解説

A→Bの化学反応式を書くと次のようになります。

ルシャトリエの原理より、平衡を傾かせるにはEtOH濃度を高めたり、H2Oを反応系から除去することが必要です。

今回の問題では、試薬の濃度を変更しないことが条件なので、水を除去することが有効な方法の1つと言えます。

ちなみに、そもそもカルボン酸は反応が進行しにくいです。

したがって、下記のように種々の反応剤を用いて、より反応性の高い塩化アシルや酸無水物にしてから反応を進行させるのが一般的です。

ぜひ、この機会にこれらも覚えておきましょう!

解説

2分子のエステルによるClaisen縮合反応です。

まず、試薬NaHは塩基として振る舞い、α炭素の水素を引き抜きます。

今回のエステルでは、CH3COOEt2のみがα炭素を有するため、こちらのプロトンが引き抜かれます。

発生したエノラートイオンがもう一方のエステルのカルボニル基に付加し、四面体中間体を生成します。

そして、EtOが脱離することによってBが生成します。

電子の流れを表すときに、Na+やEtO→EtOHなどどこまで記載するか悩みますが、おそらくこれが記載できていれば大丈夫なんじゃないかなと思います!

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解説

Robinson環化の問題です。

Robinson環化は、ジケトンを生じる1段階目のMicael反応と2段階目の分子内アルドール反応という2段階反応で構成されます。

まず、Michael反応によって生成するアについて解説します!

問題文のようなα,β-不飽和ケトンとβ-ケトエステルでは、次のようにβ炭素への共役付加(Micael反応)が進行します。

まず、β-ケトエステルのα水素が塩基によって引き抜かれた後、このエノラートイオンがα,β-不飽和ケトンのβ炭素へ共役付加します。

そして、α炭素がプロトン化されることにより、解答のような生成物を得ることができます!

続いて、二段階目の分子内アルドール反応(イ)について解説します。

一般的にアルドール反応は塩基性触媒で反応が進行させますが、酸触媒でも反応が次のように進行します。

酸触媒で反応する際はケト・エノール互変異性により、ケトンからエノールに変化します。

そして、そのエノールがケトンのカルボニル基に攻撃します。

カルボニル基の反応性はケトン>エステルで、なぜならエステルのカルボニルには隣接基のOEtから電子が流れ込み、正電荷が弱められているからです。

そして、脱水及びプロトンの除去が起こると、解答のような生成物を得ることができます。

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Ⅱ-1(2)

(C6H5)3P=CHOCH3

解説

Witting反応の問題です。

この反応は非常に有名かつ試薬も特徴的ですよね!

Witting反応は、以下のようにケトンとホスホニウムイリドが反応してアルケンを得ることができる反応です。

ぜひとも覚えておきましょう!

解説

酸触媒によるアルケンへの水の付加と脱離について、電子の流れを記載する問題です。

この問題のポイントは第1段階目

プロトンが付加するときに、Oの電子対から隣接位に電子が流れ込んで二重結合が形成されるということに気付けるかどうかです!

一般的なアルケンの水付加と同様に考えると、下記のようにマルコフニコフ則に従ってHとOHが付加されそうです。

しかし、これでは生成物Gのようなアルデヒドになることはありません。

したがって、どうしたらアルデヒドが生成するのか考えて、解答のような電子の流れを想起しましょう!

CH3CH2-MgBr

解説

Grignard反応剤によるC-C結合の形成反応です。

下記のように反応が進行します!

まず、Grignard反応剤がカルボニル基に攻撃した後、H3O+によって形成されている錯体が壊れてアルコールが生成します。

そして、CrO3によってアルコールが酸化されることによって、生成物Iのようなケトンを得ることができます!

反応を逆に考えると(逆合成解析)、試薬3)がCrO3なので反応途中でアルコールが生成することが分かりますよね。

したがって、これをヒントに解答を考えるとよいでしょう!

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解説

ケトン+アミン→イミンの反応と還元によるアミン化反応を組み合わせた問題です(還元的アミノ化反応)。

続く反応の反応剤は、1) CH3I(過剰)と2) Ag2O, H2O, 加熱で、この反応剤を見て思い出してほしいのが『徹底的メチル化』『Hofmann脱離』です。

徹底的メチル化…アミンに対して過剰のヨウ化メチルを作用させて第四級アンモニウム塩に変換する反応

Hofmann脱離…第四級アンモニウム塩を塩基で処理することによって生じる脱離反応

反応は以下のように進行します。

まず、過剰のヨウ化メチルによって第四級ヨウ化アンモニウムが生成します。

そして、酸化銀水溶液との反応により水酸化第四級アンモニウムに変換され、加熱することによってHofmann脱離が起こり、解答のような生成物を得ることができます。

ここで、Hofmann脱離は結合している水素の数が最も多いβ炭素からプロトンが引き抜かれるという点に注意しましょう!(=アンチZaitsev則)

最後に

いかがでしたか?

今回は、2023年度東工大院試の応用化学系の有機化学の問題について解説してきました。

今後も過去問の解説をどんどんしていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

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この記事を書いた人

国立大学の化学科を首席で卒業!
現在は大学院で有機化学を専攻中です。
自身の経験を基に、勉強法や院試過去問解説などをしています!
詳しくはこちらのXから
https://x.com/percussion_lab

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