大学化学でいきなり出てくるけど、聞き馴染みがない単語である「縮退(縮重)」。
『縮退(縮重)ってそもそもどういう意味?』
『「縮退」と「縮重」って違う意味?』
と思っているのではないでしょうか?
縮退を理解するポイントは、
『軌道とエネルギー』
です。これさえ押さえておけば、縮退について理解できます!
この記事では、大学化学の重要単語の1つである「縮退(縮重)」について基礎から解説していきます!
縮退を一言で表すと?
縮退(縮重)を一言で表すと、
複数の軌道や状態が同じエネルギーを持っていること
です。
…と言われても少しわかりにくいですよね。
この「縮退」について理解するために、まずは軌道について理解しましょう!
そもそも軌道とは?
軌道と言えば、s軌道とか、p軌道とかあるのをどこかで聞いたことがありますよね?
そもそも軌道が何を表しているかというと、これらは
電子が存在しやすい領域
を表しています。
噛み砕いていうと、例えば電子を1000回観測したら、電子は大体軌道で示した領域に存在しているよということです。

上の画像のように、s軌道は球状に、p軌道はひょうたん型に電子が存在しやすいと計算から導かれます。
s軌道は1種類ですが、p軌道はx軸、y軸、z軸の3方向に広がる3種類のp軌道があることがポイントです!
このことを念頭に、「縮退」について考えてみましょう!
「縮退」とは?
p軌道を考えると分かりやすいので、p軌道で説明します。
先に示したように、p軌道にはpx軌道、py軌道、pz軌道の3種類があると書きました。

これらは広がる軸方向は異なりますが、軸方向を無視すればいずれの軌道も等価であると言えます。
つまり、言い換えるとこの3つの軌道はいずれもエネルギー的に等価ということです。
ここで、最初に、
「縮退」とは、複数の軌道や状態が同じエネルギーを持っていること
と言いました。
すなわち、これらのp軌道は「縮退している」ということが出来ます。
ここでは3つのp軌道が縮重しているので、「3重縮退」していると言われます。
用語としては、「縮重」も「縮退」も同じ意味ですが、「3重縮重」とは言わず、「3重縮退」ということが多い気がしますね!
d軌道ではどうなる?
d軌道の場合は、下記の通り5種類の軌道が存在します。

この軌道の周りに電子などが存在しない自由なイオンである場合、これらの5種類の軌道はエネルギー的に等価です。
すなわち、5重縮退しているということが出来ます。
なぜ、最初に「自由なイオンの場合…」と書いたかというと、これが錯体の場合は話が変わるからです。
錯体とは、
金属イオンに分子やイオン(配位子)がくっついた物質
のことです。
ここの「金属イオン」はd軌道を有しており、もし配位子がくっついていない自由なイオンの場合は、先に述べた通りd軌道が5重縮退しています。
しかし、例えば「八面体錯体」の場合は、下記の通りエネルギーの高い2つの軌道とエネルギーの低い3つの軌道に分裂します。

つまり、上のようにエネルギーの高い2種類の軌道(eg軌道)は2重縮退しており、エネルギーの低い3種類の軌道(t2g軌道)は3重縮退しています。
この分裂の仕方は錯体の形で変わり、今回の場合はd軌道が2重縮退と3重縮退に分裂していますが、例えば正四面体の場合は違う分裂の仕方になります。
錯体の考え方について、詳しく知りたい方はこちらの記事を参照してください!

Tips:「縮退」と「縮重」はどっちを使うべき?
結論から言うと、どちらを使っても問題ないです。
「理想気体」を本によっては「完全気体」と呼ぶのも同じ感じですね。
(化学では、同じ意味だけど異なる呼び方をする単語は意外とあるイメージです)
実際、「縮退」も「縮重」も英語ではいずれも“degeneracy”です。
また、シュライバー・アトキンス無機化学でも「縮退または縮重」という書き方をしています。
ただ、個人的には「縮退」と呼ぶことが多いかなぁという気がします(これは分野によるのかもしれませんが…)
また、先に示したように「○重縮重」とは言わず「〇重縮退」ということが多いと思いますし、一方で「縮退度」とは言わず「縮重度は〇〇」と表現することもあります。
なので、要は使い分けなのですが、筆者としては多くの場面で「縮退」と言うことが多いです…!
最後に
いかがでしたか?
今回は「縮重(縮退)とは何か?」について解説してきました。
今回の内容をまとめると、
「縮退(縮重)」とは、複数の軌道や状態が同じエネルギーを持っていること
3つの軌道が縮重している場合は「3重縮退」と呼ぶ
となります。
縮重の考え方は大学化学の基礎になるので、ぜひおさえておきましょう!
ぜひ、参考にしてみてくださいね!

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