皆さんは、
東京科学大院試に向けて過去問を解いているけど、難しい!
過去問の解答が欲しい!
と思っていませんか?
この記事では、2024年入学東京科学大の物質理工学院材料系の熱力学の問題解答について、解説していきます!
問題(Ⅱ-1)はこちら(ホームページ)からダウンロードできます。
ぜひ、問題を解いてから読んでみてください!
こちらの解答は正式なものではなく、筆者が出した解答ですのでその点には十分注意してお読みください!


Ⅱ-1
(1)
$\frac{1}{{\gamma – 1}}\left( {{p_A}{V_A} – {p_B}{V_B}} \right)$
解説
仕事${W_{AB}}$は以下のように積分を用いて表現することが出来ます。
${W_{AB}} = \int_{{V_A}}^{{V_B}} {pdV}$
また、問題文の記載通り、断熱過程では以下が成り立ちます。
${p_A}{V_A}^\gamma = p{V^\gamma}$
したがって、積分を解くと、
${W_{AB}} = \int_{{V_A}}^{{V_B}} {{{\left( {\frac{{{V_A}}}{V}} \right)}^\gamma }} {p_A}dV$
$= {p_A}{V_A}^\gamma \int_{{V_A}}^{{V_B}} {\frac{{dV}}{{{V^\gamma }}}}$
$= {p_A}{V_A}^\gamma \left[ {\frac{1}{{1 – \gamma }}{V^{1 – \gamma }}} \right]_{{V_A}}^{{V_B}}$
$= \frac{{{p_A}{V_A}^\gamma }}{{1 – \gamma }}\left( {{V_B}^{1 – \gamma } – {V_A}^{1 – \gamma }} \right)$
$= \frac{1}{{1 – \gamma }}\left( {{p_A}{V_B}{{\left( {\frac{{{V_A}}}{{{V_B}}}} \right)}^\gamma } – {p_A}{V_A}} \right)$
$= \frac{1}{{1 – \gamma }}\left( {{p_B}{V_B} – {p_A}{V_A}} \right)$
$= \frac{1}{{\gamma – 1}}\left( {{p_A}{V_A} – {p_B}{V_B}} \right)$
となります。
(2)
$n{C_V}({T_B} – {T_A})$
解答
断熱過程(に限らず、理想気体)では、内部エネルギーについて以下が成り立ちます。
$n{C_V}\Delta T$
したがって、
$n{C_V}({T_B} – {T_A})$
となります。
(3)
$n{C_V}({T_C} – {T_B})$
解説
定積変化より仕事$w=0$です。
したがって、熱力学第一法則より、
$Q = \Delta U$
$= n{C_V}({T_C} – {T_B})$
となります。
(4)
$1 – \frac{{{T_D} – {T_A}}}{{{T_C} – {T_B}}}$
解説
吸収した熱量を${{q_h}}$、放出した熱量を${{q_c}}$とすると、熱効率は、
$\eta = 1 – \frac{{|{q_c}|}}{{|{q_h}|}}$
と書けます。
ここで、放出された熱量は過程4を考えればよいので、
$|{q_c}| = |n{C_V}({T_A} – {T_D})|$
$= n{C_V}({T_D} – {T_A})$
となります。これと(3)の結果を用いて、
$\eta = 1 – \frac{{n{C_V}({T_D} – {T_A})}}{{n{C_V}({T_C} – {T_B})}}$
$= 1 – \frac{{{T_D} – {T_A}}}{{{T_C} – {T_B}}}$
となります。
(5)
$= 1 – {\left( {\frac{{{V_B}}}{{{V_A}}}} \right)^{\gamma – 1}}$
解説
(4)の式を変形することを考えます。
断熱過程なので、以下の式が成り立ちます。
${T_C}{V_B}^{\gamma – 1} = {T_D}{V_A}^{\gamma – 1}$
${T_A}{V_A}^{\gamma – 1} = {T_B}{V_B}^{\gamma – 1}$
これらを用いて、
${T_D} – {T_A}$
$= {\left( {\frac{{{V_B}}}{{{V_A}}}} \right)^{\gamma – 1}}{T_C} – {\left( {\frac{{{V_B}}}{{{V_A}}}} \right)^{\gamma – 1}}{T_B}$
$= {\left( {\frac{{{V_B}}}{{{V_A}}}} \right)^{\gamma – 1}}\left( {{T_C} – {T_B}} \right)$
となります。
これを用いて、(4)の式を変形すると、
$\eta = 1 – \frac{{{T_D} – {T_A}}}{{{T_C} – {T_B}}}$
$= 1 – \frac{{{{\left( {\frac{{{V_B}}}{{{V_A}}}} \right)}^{\gamma – 1}}\left( {{T_C} – {T_B}} \right)}}{{{T_C} – {T_B}}}$
$= 1 – {\left( {\frac{{{V_B}}}{{{V_A}}}} \right)^{\gamma – 1}}$
となります。
(6)
0.60
解説
まず、これを計算するためには比熱比を求める必要があります。
比熱比$\gamma = \frac{{{C_P}}}{{{C_V}}}$と書けるので、
定容比熱${{C_V}}$を求めましょう!
エネルギー等分配則より、1自由度あたり、
$\frac{1}{2}kT = \frac{1}{2}\frac{R}{{{N_A}}}T$
のエネルギーが分配されます。
ここで二原子分子の自由度を考えましょう。
問題文より、振動の自由度は考慮しなくてよく、
並進の自由度が3、回転の自由度が2なので、二原子分子の自由度が5となります。
したがって、$n$ molの場合の内部エネルギーは、
$\frac{5}{2}nRT$
となります。また、内部エネルギーは$n{C_V}T$ともかけるので、
${C_V} = \frac{5}{2}R$です。
マイヤーの式を用いると、
${C_P} = {C_V} + R = \frac{7}{2}R$
となるので、比熱比は、
$\gamma = \frac{{{C_P}}}{{{C_V}}} = \frac{7}{5}$
です。
よって、(5)より、
$\eta = 1 – {\left( {\frac{{{V_B}}}{{{V_A}}}} \right)^{\gamma – 1}}$
$= 1 – {\left( {\frac{1}{{10}}} \right)^{\frac{2}{5}}}$
$= 1 – \frac{1}{{{{10}^{\frac{2}{5}}}}}$
$= 1 – \frac{1}{{2.51}}$
≒0.60
となります。
最後に
いかがでしたか?
今回は、2024年度東京科学大院試の材料系の熱力学の問題について解説してきました。
今後も過去問の解説をどんどんしていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!



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