[有機化学Ⅱ]2024東京科学大(旧東工大)材料系院試の過去問解答を無料公開!

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皆さんは、

東京科学大院試に向けて過去問を解いているけど、難しい!

過去問の解答が欲しい!

と思っていませんか?

この記事では、2025年入学東京科学大の物質理工学院材料系の有機化学の問題解答について、解説していきます!

問題(Ⅱ-3)はこちら(ホームページ)からダウンロードできます。

過去の入試問題 | Science Tokyo 受験生

ぜひ、問題を解いてから読んでみてください!

こちらの解答は正式なものではなく、筆者が出した解答ですのでその点には十分注意してお読みください!

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目次

Ⅱ-3(1)

解説

A

H2を用いた還元反応です。

ニトロ基アミノ基に変換されます。

B

まず、亜硝酸から下記のように反応してニトロニウムイオンが生成します。

生成したこのニトロニウムイオンが、下記のようにアニリンと反応します。

反応がこのように進行していくと、途中でアリールジアゾニウムイオンが生成し、これとヨードカリウムが反応することにより、ヨウ化物が生成します。

通常はヨードナトリウムを反応として用いることが多いですが、今回はヨードカリウムを用いていることがポイントです。

このようにアニリンを原料とし、ジアゾニウムイオンを経てハロゲン化物となる反応をザンドマイヤー反応と呼びます。

したがって、解答のようになります!

C

塩化アシルアンモニアの反応なので、アンモニア窒素の孤立電子対がカルボニルにアタックすることで、アミドが生成します。

ちなみに反応生成物としてHClが生成してアンモニアと酸塩基反応するので、アンモニアが2倍量必要となることがポイントです。

D

アミドと臭素のアルカリ溶液を見たら、ホフマン転移を思い出しましょう!

ホフマン転移は下記のような反応機構で反応が進行します。

このホフマン転移では、反応物のアミドから一炭素減ったアミンが生成することがポイントです。

E

アミン+ケトン+還元剤の組み合わせから、還元的アミノ化を連想しましょう!

まず、下記のように第1級アミンとケトンは反応すると、イミンが生成します。

そして、イミンと還元剤を反応させると、第2級アミンを合成することが出来ます!

ちなみに還元的アミノ化では、一般的にNaBH3CNのようなマイルドな還元剤を用います。

これは、反応剤であるケトンが還元されてしまう可能性があるからです。

今回の問題では、還元剤がNaBH4で収率自体は低くなる可能性があると予想されますが、おそらく還元的アミノ化反応で正しいと思います。

F・G

アミン+過剰量のヨウ化メチルにより、第4級アンモニウム塩を合成することが出来ます。

これに酸化銀を加えることにより、ホフマン脱離が進行します。

ホフマン脱離のポイントは、置換基の数が少ないオレフィンが優先的に生成するということです。

上記の反応機構のように、ホフマン脱離では途中でプロトンが脱離してアニオンが生成します。

アニオンの安定性は、カチオンと逆で、

第1級 > 第2級 >第3級

となります。なので、プロトンが脱離するのは置換基の少ない基となります。

よって、上記のように脱離が進行して生成物は解答のようになります!

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Ⅱ-3(2)

解答

Diels-Alder反応に関する問題です。

それぞれこれらのジエンジエノフィルが下記のように反応することによって、目的物を得ることが出来ます。

になります。

Diels-Alder反応は[4+2]環化反応ですので、6員環(と二重結合)が存在しているところを見つけると、Diels-Alder反応の反応物を見つけることが出来るはずです!

この化合物はtert-ブチル基同士の立体障害により、下記のようにs-trans形の立体配座をとる。Diels-Alder反応はs-cis形の立体配座の時のみ反応が進行するため、反応が起こらない。

解説

下記のように、

2つの二重結合が単結合に対してcis配置であるものをs-cis形

2つの二重結合が単結合に対してtrans配置であるものをs-trans形

と呼びます。

問題の化合物である、2,3-tert-ブチル-1,3-ブタジエンは、構造からもわかる通りtert-ブチル基同士の立体障害が大きいです。

したがって、tert-ブチル基同士がより離れるs-trans形になると予想することが出来ます。

一方で、Diels-Alder反応を起こすためには、C-1とC-4が近接している、すなわちs-cis形である必要があります。

したがって、この化合物はDiels-Alder反応を起こさないと予想することが出来ます!

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Ⅱ-3(3)

解説

置換基の効果を比較する問題です。

芳香族求電子置換反応は、ベンゼンの求核性が高いほど反応性が高くなります。

ベンゼンの求核性を増大させるような置換基を活性化置換基

ベンゼンの求核性を低下させるような置換基を不活性置換基

と呼びます。

それぞれの置換基を分類すると、

・-OHは強い活性化置換基

・Clは弱い不活性化置換基

・NO2は強い不活性化置換基

なので、解答のような順番となります!

フェノールとベンズアルデヒドの共鳴構造式は以下の通りである。芳香族求電子置換反応は、芳香族と求電子剤との反応であり、より負に帯電している位置が反応しやすい。図より、フェノールはo,p位が負に帯電し、ベンズアルデヒドはm位が相対的に負に帯電しているため、解答のようになる。

解説

芳香族の配向性の問題です。

フェノールがo,p配向性、ベンズアルデヒドがm-配向性であることは知っていると思います。

この配向性を説明するには、共鳴構造式を書くことが必要です。

ニトロ基がついたときの共鳴構造式を書いても解答できますが、それぞれについてo,m,pを書く必要があり、大変なのでニトロ基がついてない状態の共鳴構造式で解答しました。

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最後に

いかがでしたか?

今回は、2024年度東京科学大院試の材料系の有機化学の問題について解説してきました。

今後も過去問の解説をどんどんしていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

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この記事を書いた人

国立大学の化学科を首席で卒業!
現在はメーカー勤務の社会人です。
自身の経験を基に、勉強法や院試過去問解説などをしています!
詳しくはこちらのXから
https://x.com/percussion_lab

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