ガソリンなどの燃料やプラスチックなどの石油化学製品というように、石油は我々の生活に欠かせない存在です。
しかし、
「石油の成分って何?」
と聞かれたときに、意外とすぐに答えられないという方が多いのではないでしょうか?
そんなあなたも、これを見れば石油には何が含まれているのか、その各成分の構造式はどうか等について知ることが出来ます。
この記事では、主に石油の成分について化学的な視点から解説していきます!
そもそも石油って何?
いきなりですが、もし子どもに、
「石油ってなぁに?」
と聞かれたら、皆さんはどのように答えますか?
正直、多くの人が悩むんじゃないかなぁと思います。
石油とは、簡単に言えば「液状の鉱物資源の1つ」です。
…ただ、こんな答えを出しても子どもが聞いたらぽかんとしそうですよね(笑)
まぁ、とりあえず上のイラストにもあるような「黒色の液体」を想像しておけばまず大丈夫でしょう。
ちなみに、類似した単語として「原油」というのがありますよね?
あれは、油田から採掘してそのままの液体(精製していない液体)のことをあえて「原油」と表現しています。
だから、例えば、石油の「埋蔵量」や「生産量」を述べるときは「原油」と書かれることが多いです。
そのような原油を処理すると、皆さんが生活でよく使う「ガソリン」や「灯油」などに変換されます。
ところで、石油ストーブや石油ファンヒーターの「石油」は「灯油」を意味していますよね。
一方で、石油化学製品の「石油」は「粗製ガソリン(ナフサ)」を意味しています。
このように、「石油」という単語は文脈で様々な意味を表すことができる万能な単語です。
しかし、裏を返せば抽象的な単語ともいえるので、だからこそ「石油とは何か」が分かりにくいのかもしれません…!
石油の主成分は炭化水素
では、その石油(原油)にはどのような成分が含まれているのでしょうか?
実は産地によっても組成が若干異なりますが、その主成分は炭化水素となっています。
「炭化水素」とは、炭素(C)と水素(H)からなる化合物のことで、例えば以下のような化合物です。
上図から分かるように、皆さんがどこかで耳にしたことがあるだろう「メタンガス」や「プロパンガス」もその炭化水素の仲間です。
それで、原油中の炭化水素は、主に➀アルカン、②シクロアルカン、➂芳香族の3つからなっています。
例を挙げると以下のような感じです!
ちなみに、
アルカン…1本の結合(単結合)で結ばれている炭化水素
シクロアルカン…環状(リング状)のアルカン
芳香族…ベンゼン(環)を含む化合物
です。
もちろん、上記にの化合物はほんの一例でしかなく、原油にはこの他にも様々な物質が含まれています。
ただし、重要なのが原油はアルカンとシクロアルカンで80~90 %を占めているということです!
つまり、原油に含まれているほとんどの成分が単結合の化合物(飽和化合物)であり、二重結合や三重結合を持つ化合物(不飽和化合物)はあまり含まれていません。
原油はどのように使われる?
このように、原油には様々な化合物が含まれています。
各化合物では性質がもちろん違い、その性質の違いにより化合物が分離されます。
そのような性質の中でも、ここで特に重要となるのが「沸点」です。
沸点は液体から気体になる温度のことを指し、一般に分子量が大きいほど沸点は大きな値となります。
したがって、蒸留(分別蒸留)をすることによって、以下のように分離することが出来ます。
(※’C’は炭素数を示していますが、これはあくまで目安であり、必ずしも常にこうなるというわけではありません。)
このように蒸留された後、各成分が処理されて我々の身近な製品へと変換されていきます。
ところで、上記の5つの中で最も重要である(需要が高い)のはどれだか分かりますか?
その答えは、C5~C12のナフサです!
このあたりの炭素数の成分が、自動車の燃料に利用されるガソリンになったり、ポリエチレンやポリプロピレンといった石油化学製品の原料になります。
ガソリンと石油化学製品ってどちらも明らかに消費量が多いですよね!
それと比べると、例えば軽油は明らかに消費量は少ないです。
したがって、「軽油留分」の一部は分解処理を施され(炭素数を減らされ)、ナフサに変換されます。
このように、各成分を適当に変換することで我々の需要に合わせた供給がなされます。
また、こちらの記事に詳しくは述べていますが、ガソリンは高オクタン価にすることが必要です。
したがって、低オクタン価なガソリンを高オクタン価のガソリンに変換するなどの処理も行われています。
このような「変換」は主に触媒などを利用されて行われますが、内容が大学の化学レベルなのでここでは割愛します…!
最後に
いかがでしたか?
今回は、主に石油の成分にフォーカスして取り上げてきました。
石油は我々の生活に不可欠な存在ですが、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか?
この機会に、石油についてある程度の知識を身につけておくとよいでしょう!
ぜひ、参考にしてみてくださいね!
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