突然ですが、
アトキンス物理化学の解答・解説を知りたい!
演習問題の解答がどのようになるのか確かめたい!
と思っていませんか?
アトキンス物理化学は演習問題が沢山ありますが、解答書にも解答が記載されていない問題が沢山あるんですよね。
そこで、解答書には記載されていない演習問題の解説をしてみました!
この記事では、アトキンス物理化学(上)第10版2章D・E演習問題(b)の解答・解説をしていきます!
解答はアトキンス物理化学の解答書にも記載されていないので、これは筆者が求めた解答になります。計算ミスがあるかもしれないので、その点には注意してください!(計算ミスがあればご指摘いただければ幸いです。)

3章A
3A・1(b)
全体のエントロピー変化を考えればよく、エントロピー変化が正であれば自発的な過程であるということが出来ます!
ある過程全体のエントロピー変化は、系のエントロピー変化と外界のエントロピー変化の和であるから、
$\Delta{S}_{total}=\Delta{S}_{sys}+\Delta{S}_{surr}$
と書くことが出来る。
問題文より、
$\Delta{S}_{total}=+105-95=+10>0$
であるから、この過程は自発的に進行する。
3A・2(b)
熱機関の効率$\eta$は次の式で書くことが出来ます。
$\eta=\frac{|w|}{|q_{h}|}=1-\frac{T_{c}}{T_{h}}$
この式を用いて、有機液体の温度を算出しましょう!
熱機関の効率は、与えられた熱量に対する仕事量で算出できるので、
$\eta=\frac{0.71}{2.71}=0.262$
である。また、効率は熱源温度の比から算出することも出来、有機液体の温度を$T_{c}として、
$\eta=1-\frac{T_{c}}{273.16}$と書ける(水の三重点の温度は、$273.16 K$である)。
よって、
$T_{c}=273.16\times(1-0.262)=201.59$
より、$202 K$となる。
3A・3(b)
等温過程において、エントロピー変化$\Delta{S}$は、
$\Delta{S}=\frac{q_{rev}}{T}$
と表されることを用いて計算しましょう!
エントロピー変化$\Delta{S}は、
$\Delta{S}=\frac{q_{rev}}{T}$
と書くことが出来るので、これを用いて、
(ⅰ) $\Delta{S}=\frac{100\times10^{3} J}{273.15 K}$≒$366 J K^{-1}$
(ⅱ) $\Delta{S}=\frac{100\times10^{3} J}{323.15 K}$≒$309 J K^{-1}$
となる。
2D・4(b)
標準モルエントロピーを考えるには、熱容量がポイントとなります。
熱容量は自由度から考えることが多いですが、自由度からは考えることが出来ません(下記に示した通り)。
分子量の差から判断してみましょう!
298 Kにおけるエントロピーは、
$S_{m}(298 K)=S_{m}(0)+\int_{0}^{298}\frac{C_{p}}{T}dT+\sum \dfrac{\Delta _{tr}H}{T}$
と書くことが出来る。
$S_m(0)$は明らかに小さく、CO2及びH2Oについて前者は昇華エントロピー、後者は融解及び蒸発エントロピーといずれも相転移エントロピーを含むので、熱容量寄与が支配的になると予想される。
熱容量は1 K上昇するのに必要な熱量である。
分子量が大きい場合、温度を上昇させる(激しく分子運動させる)ためにはより必要な熱量は大きい、つまり熱容量は大きいと言える。
CO2とH2Oは前者の方が約2.4倍であるため、CO2の方が熱容量は圧倒的に大きい。
したがって、CO2の方が標準モルエントロピーが大きいと考えられる。
運動の自由度をそれぞれ計算すると、
CO2:3(並進)+2(回転)+4(振動)
H2O:3(並進)+3(回転)+3(振動)
なので、この自由度の計算からは標準モルエントロピーの大小を考えることはできません。
3A・5(b)
完全気体が$V_i$から$V_f$へ等温膨張するときのエントロピー変化$\Delta{S}$は、
$\Delta{S}=nRln\frac{V_f}{V_i}$
で表すことが出来るので、これを用いて算出しましょう!
$\Delta{S}=nRln\frac{V_f}{V_i}$
$=\frac{4.00}{28.014}\times8.314\times ln\frac{750}{500}=0.481 J K^{-1}$
より、$0.481 J K^{-1}$
となる。
3A・6(b)
液体の標準蒸発エントロピーは、トルートンの規則より$85 J K^{-1} mol^{-1}$となります。
これを用いて標準モル蒸発エンタルピーは、
$\Delta{_{vap}H^o}=T_{b}\times85$
より算出することが出来ます!
トルートンの規則より、
$\Delta{_{vap}S^o}=85 J K^{-1} mol^{^-1}$
とすることが出来るので、これを用いて標準モル蒸発エンタルピーは、
$\Delta{_{vap}H^o}=353.85\times85=30 kJ mol^{-1}$
より、$30 kJ mol^{-1}$
となる。
3A・7(b)
体積一定過程において、温度$T_i$から$T_f$に変化した時のエントロピー変化は、
$S(T_f)=S(T_i)+\int_{T_{i}}^{T_{f}}\frac{C_{v}}{T}dT$
となります。これを用いて値を算出しましょう!
また、定積モル熱容量は、アトキンス別表記載の定圧モル熱容量と$C_{p,m}-C_{v,m}=R$(マイヤーの関係式)を用いて算出できます。
まず、アルゴンの定積モル熱容量を求めると、
$C_{v,m}=C_{p,m}-R=20.786-8.314=12.472 J K^{-1} mol^{-1}$
である。これを用いて、250 Kにおけるモルエントロピーは、
$S(250 K)=S(298 K)+\int_{298}^{250}\frac{12.472}{T}dT$
$=154.84+12.472\times ln\frac{250}{298}$
$=152.65 J K^{-1} mol^{-1}$
となる。
3A・8(b)
状態変化の過程を、(ⅰ)定圧変化の過程(25℃→135℃)と(ⅱ)等温圧縮(1.50 atm→7.00 atm)の過程に分け、それらのエントロピー変化を足し合わせることで算出することが出来ます!
まず、1.50 atmのもと25℃から135℃へ変化した時のエントロピー変化$\Delta{S_{1}}$は、
$\Delta{S_{1}}=nC_{p,m}ln\frac{T_{f}}{T_{i}}=2.00 mol\times\frac{7}{2}\times8.314 J K^{-1} mol^{-1}\times ln\frac{408}{298}$
$=18.28 J K^{-1}$
であり、また135℃のもと1.50 atmから7.00 atmへと変化した時のエントロピー変化\DetlaS_{2}$は、
ボイルの法則より、$\frac{V_{f}}{V_{i}}=\frac{p_{i}}{p_{f}}$であることを考慮して、
$\Delta{S_{2}}=nRln\frac{V_{f}}{V_{i}}=nRln\frac{p_{i}}{p_{f}}$
$=2.00 mol\times8.314 J K^{-1} mol^{-1}\times\frac{1.50}{7.00}$
$=-25.61 J K^{-1} mol^{-1}$
である。したがって、全体の状態変化に伴うエントロピー変化$\Delta{S}$は、
$\Delta{S}=\Delta{S_{1}}+\Delta{S_{2}}=18.28-25.61=-7.33 J K^{-1}$
となる。系のエントロピーは負であるが、これが自発的(不可逆的)に起こるかどうかは外界のエントロピー変化を含めた、全体のエントロピー変化で決まる。
3A・9(b)
定圧下でのエントロピー変化を考えればよいですが、この問題のポイントは与えられている熱容量が比熱容量(1 g, 1 K上昇させるのに必要なエネルギー)であることです。
モル比熱ではモルをかけて計算するので、比熱容量は質量をかけて計算しましょう!
質量及び比熱容量が同一で温度が異なる物質を接触させた場合、双方の間の温度になるので、$\frac{100+25}{2}=62.5℃$になる。
もとが100℃の鉄ブロックのエントロピー変化$\Delta{S_{1}}$は、
$\Delta{S_{1}}=1.00\times10^{3} g\times0.449 J K^{-1} g^{-1}\times ln\frac{335.65}{373.15}$
$=-47.55 J K^{-1}$
であり、もとが25℃の鉄ブロックのエントロピー変化$\Delta{S_{2}}$は、
$\Delta{S_{2}}=1.00\times10^{3} g\times0.449 J K^{-1} g^{-1}\times ln\frac{335.65}{298.15}$
$=53.19 J K^{-1}$
である。したがって、全体のエントロピー変化$\Delta{S_{total}}$は、
$\Delta{S_{total}}=-47.55+53.19=5.64 J K^{-1}$
より、$5.64 J K^{-1}$
となる。
3A・10(b)
まず、完全気体が$V_{i}$から$V_{f}$へ等温膨張した時のエントロピー変化は、
$\Delta{S}=nRln\frac{V_{f}}{V_{i}}$
で書くことが出来ます。これを計算してから、条件ごとに外界のエントロピー変化及び全体のエントロピー変化を計算しましょう!
まず、$1.20 dm^{3}$から$4.60 dm^{3}$へと等温膨張した時のエントロピー変化は$\Delta{S}$は、
$\Delta{S}=\frac{21}{39.948}\times8.314\times ln\frac{4.60}{1.20}$
$=5.873 J K^{-1}$
である。
(ⅰ)等温可逆膨張
$\Delta{S_{sys}}=5.87 J K^{-1}$
可逆膨張より、$\Delta{S_{total}}=0 J K^{-1}$
よって、外界のエントロピー変化は、$\Delta{S_{sur}}=\Delta{S_{total}}-\Delta{S_{sys}}=0-5.871$
$=-5.87 J K^{-1}$
となる。
(ⅱ)$p_{ex}=0$に対する等温非可逆膨張
等温膨張より、$\Delta{S_{sys}}=5.87 J K^{-1}$
また、$p_{ex}=0$より、$w_{ex}=0$。等温膨張かつ、熱力学第一法則より、$q_{ex}=0$。
したがって、外界のエントロピー変化$\Delta{S_{sur}}=0$
以上より、$\Delta{S_{total}}=5.87+0$
$=5.87 J K^{-1}$
となる。
(ⅲ)断熱可逆膨張
断熱可逆過程より、$\Delta{S_{sys}}=0 J K^{-1}$
また、断熱過程であるから周囲との熱のやり取りもないため、$\Delta{S_{sur}}=0 J K^{-1}$
したがって、$\Delta{S_{total}}=0 J K^{-1}$
となる。
3A・11(b)
蒸発エントロピーは、
$\Delta{S_{vap}}=\frac{\Delta{_{vap}H}}{T_{b}}$
と表されるので、これを用いて算出しましょう!
また、外界エントロピーは1つ前の問題と同様に算出できます。ですが、この問題には肝心の条件が不足しているので、いったん可逆過程であると仮定して、問題を解きます。
(ⅰ)
$\Delta{S_{vap}}=\frac{35.27\times10^{3}}{337.25}=104.6 J K^{-1} mol^{-1}$
より、$104.6 J K^{-1} mol^{-1}$
(ⅱ)可逆過程
可逆過程ならば、$\Delta{S_{total}}=0 J K^{-1}$であるので、$\Delta{S_{sur}}=-104.6 J K^{-1} mol^{-1}$
となる。
3A・12(b)
各相の温度上昇時のエントロピーと各転移エントロピーの和を考えましょう!
氷の温度上昇(-12.0℃→0.0℃)のエントロピー変化:$nC_{p}(H2O, s)ln\frac{T_{f}}{T_{i}}=75.291\times ln\frac{273.15}{261.15}=3.382 n J K^{-1}$
氷の融解エントロピー:$n\frac{\Delta_{fus}H}{T_{fus}}=\frac{6.008\times10^{3}}{273.15}=22.00 n J K^{-1}$
水の温度上昇(0.0℃→100.0℃)のエントロピー変化:$nC_{p}(H2O, l)ln\frac{T_{f}}{T_{i}}=75.291\times ln\frac{373.15}{273.15}=23.49 n J K^{-1}$
水の蒸発エントロピー:$n\frac{\Delta_{vap}H}{T_{vap}}=\frac{44.016\times10^{3}}{373.15}=117.96 n J K^{-1}$
水蒸気の温度上昇(100.0℃→105.0℃):$nC_{p}(H2O, g)ln\frac{T_{f}}{T_{i}}=33.58\times ln\frac{378.15}{373.15}=0.4470 n J K^{-1}$
ここで、物質量$n$は、
$n=\frac{15.0}{18.02}=0.8324 mol$
である。したがって、
$0.8324\times(3.362+22.00+23.49+117.96+0.4470)=139.2 J K^{-1}$
より、$139.2 J K^{-1}$となる。
最後に
いかがでしたか?
今回は、アトキンス物理化学(上)第10版の3章A演習問題(b)の解答及び解説をしてきました。
演習問題を沢山解いてテストや院試で高得点を目指しましょう!
もし、この記事の人気があれば他の演習問題の解説・解答に関する記事も増やしていきたいと考えています!
ぜひ、参考にしてみてくださいね!


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