突然ですが、
アトキンス物理化学の解答・解説を知りたい!
演習問題の解答がどのようになるのか確かめたい!
と思っていませんか?
アトキンス物理化学は演習問題が沢山ありますが、解答書にも解答が記載されていない問題が沢山あるんですよね。
そこで、解答書には記載されていない演習問題の解説をしてみました!
この記事では、アトキンス物理化学(上)第10版3章B~D演習問題(b)の解答・解説をしていきます!
解答はアトキンス物理化学の解答書にも記載されていないので、これは筆者が求めた解答になります。計算ミスがあるかもしれないので、その点には注意してください!(計算ミスがあればご指摘いただければ幸いです。)

3章B
3B・1(b)
エントロピーは配置の数$W$を用いて、
$S=klnW(S=RlnW)$
で算出することができます。C6HnF6-nはベンゼンのHをn個Fに変えたものなので、nの各値について配置の数(=異性体)を考えてエントロピーを求めましょう!
C6HnF6-nはベンゼン型なので、ある一分子を考えたとき、配置の数は、
n=0,1,5,6 の時、対称性より$W=1$
n=2,4の時、オルト型、メタ型、パラ型より$W=3$
n=3の時、Fが1,2,3位、1,2,4位、1,3,5位の3種類があるので、$W=3$
となる。
したがって、1 mol当たりの場合はそのNA乗であるので、残余モルエントロピーは、
n=0,1,5,6の時、$S=kln1^{N_{A}}=0$
より、$S=0 J K^{-1} mol^{-1}$となる。
n=2,3,4の時、$S=kln3^{N_{A}}=kN_{A}ln3=Rln3=9.134 J K^{-1} mol^{-1}$
より、$S=9.31 J K^{-1} mol^{-1}$となる。
3B・2(b)
ある反応式の標準反応エントロピー$\Delta{_{r}S^{o}}$は、
$\Delta{_{r}S^{o}}=\sum _{products}\nu S_{m}^{o}-\sum _{reactants}\nu S_{m}^{o}$
で計算することが出来るので、これを用いて計算しましょう!
(ⅰ)
$\Delta{_{r}S^{o}}=\Delta{S_{m}^{o}(Zn^{2+}(aq))}+\Delta{S_{m}^{o}(Cu(s))}-\Delta{S_{m}^{o}(Zn(s))}-\Delta{S_{m}^{o}(Cu^{2+}(aq))}$
$\Delta{_{r}S^{o}}=-112.1+33.150-41.63+99.6=-20.98 J K^{-1} mol^{-1}$
より、$-21.0 J K^{-1} mol^{-1}$
となる。
(ⅱ)
$\Delta{_{r}S^{o}}=12\Delta{S_{m}^{o}(CO_{2}(g))}+11\Delta{S_{m}^{o}(H_{2}O(l))}-\Delta{S_{m}^{o}(C_{12}H_{22}O_{11}(s))}-12\Delta{S_{m}^{o}(O_{2}(g))}$
$\Delta{_{r}S^{o}}=12\times213.74+11\times69.91-360.2-12\times205.138=512.034 J K^{-1} mol^{-1}$
より、$-512.0 J K^{-1} mol^{-1}$
となる。
3章C
3C・1(b)
ある反応式の標準反応エンタルピー$\Delta{_{r}H}$は先の問題と同様に、
$\Delta{_{r}H^{o}}=\sum _{products}\nu _{f}H^{o}\sum _{reactants}\nu _{f}H^{o}$
で求めることが出来ます!(ただし、モルエンタルピーの絶対値は不明であるため、生成エンタルピーであることに注意)
これより反応エンタルピーを求め、3B・2(b)の結果と、
$\Delta{_{r}G^{o}}=\Delta{_{r}H^{o}}-T\Delta{_{r}S^{o}}$
の式を利用して標準反応ギブズエネルギーを計算しましょう!
(ⅰ)
$\Delta{_{r}H^{o}}=\Delta{_{f}H^{o}(Zn^{2+}(aq))}+\Delta{_{f}H^{o}(Cu(s))}-\Delta{_{f}H^{o}(Zn(s))}-\Delta{_{f}H^{o}(Cu^{2+}(aq))}$
$\Delta{_{r}H^{o}}=-153.89+0-0-64.77=-218.66 kJ K^{-1} mol^{-1}$
である。したがって、標準反応ギブズエネルギーは、
$\Delta{_{r}G^{o}}=\Delta{_{r}H^{o}}-T\Delta{_{r}S^{o}}=-218.66-298\times(-21.0)\times10^{-3}=-212.40 kJ^{-1} mol^{-1}$
より、$-212.4 kJ^{-1} mol^{-1}$
となる。
(ⅱ)
$\Delta{_{r}H^{o}}=12\Delta{_{f}H^{o}(CO_{2}(g))}+11\Delta{_{f}H^{o}(H_{2}O(l))}-\Delta{_{f}H^{o}(C_{12}H_{22}O_{11}(s))}-12\Delta{_{f}H^{o}(O_{2}(g))}$
$\Delta{_{r}H^{o}}=12\times(-393.51)+11\times(-285.83)+2222-12\times0=-5644.2 J K^{-1} mol^{-1}$
である。したがって、標準反応ギブズエネルギーは、
$\Delta{_{r}G^{o}}=\Delta{_{r}H^{o}}-T\Delta{_{r}S^{o}}=-5644.2-298\times(-512.0)\times10^{-3}=-5491.6 kJ^{-1} mol^{-1}$
より、$-5492 kJ^{-1} mol^{-1}$
となる。
3C・2(b)
3B・2(b)と3C・1(b)を組み合わせたような問題です。
同様に計算して、標準反応ギブズエネルギーを計算しましょう!
標準反応エンタルピーは、
$\Delta{_{r}H^{o}}=\Delta{_{f}H^{o}(CH_{3}CH_{2}COOH(l))}-\Delta{_{f}H^{o}(CO(g))}-\Delta{_{f}H^{o}(CH_{3}CH_{2}OH(l))}$
$\Delta{_{r}H^{o}}=-510.8+110.53+277.69=-122.58 kJ mol^{-1}$
である。また、標準反応エントロピーは、
$\Delta{_{r}S^{o}}=\Delta{S_{m}^{o}(CH_{3}CH_{2}COOH(l))}-\Delta{S_{m}^{o}(CO(g))}-\Delta{S_{m}^{o}(CH_{3}CH_{2}OH(l))}$
$\Delta{_{r}S^{o}}=191-197.67-160.7=-167.37 J mol^{-1}$
である。したがって、これを用いて標準反応ギブズエネルギーは、
$\Delta{_{r}G^{o}}=\Delta{_{r}H^{o}}-T\Delta{_{r}S^{o}}=-122.58-298\times(-167.37)\times10^{-3}=-72.7 kJ mol^{-1}$
より、$-72.7 kJ mol^{-1}$
となる。
3C・3(b)
温度と圧力が一定であるとき、最大の非膨張の仕事はギブズエネルギーの変化で与えられます。
したがって、プロパンの燃焼反応の反応ギブズエネルギーを計算しましょう!
プロパンの燃焼反応は、下記の通りである。
C3H8+ 5O2 →3CO2 + 4H2O
したがって、この標準反応ギブズエネルギーは、
$\Delta{_{r}G^{o}}=3\Delta{_{f}G^{o}(CO_{2}(g))}+4\Delta{_{f}G^{o}(H_{2}O(l))} \Delta{_{f}G^{o}(C_{3}H_{8}(g))}-5\Delta{_{f}G^{o}(O_{2}(g))}$
$\Delta{_{r}G^{o}}=3\times(-394.36)+4\times(-237.13)-(-23.49)-5\times0=-2108.11 kJ mol^{-1}$
より、$2108.11 kJ$
となる。
3C・4(b)
標準反応ギブズエネルギーは、反応エンタルピーと同様に、
$\Delta{_{r}G^{o}}=\sum _{products}\nu _{f}G^{o}-\sum _{reactants}\nu _{f}G^{o}$
により、求めることが出来ます。これを用いて計算しましょう!
(ⅰ)
$\Delta{_{r}G^{o}}=\Delta{_{f}G^{o}(Zn^{2+}(aq))}+\Delta{_{f}G_{m}^{o}(Cu(s))}-\Delta{_{f}G^{o}(Zn(s))}-\Delta{_{f}G^{o}(Cu^{2+}(aq))}$
$\Delta{_{r}G^{o}}=-147.06+0-0-65.49=-212.55 kJ mol^{-1}$
より、$-212.55 kJ mol^{-1}$となる。
(ⅱ)
$\Delta{_{r}G^{o}}=12\Delta{_{f}G^{o}(CO_{2}(g))}+11\Delta{_{f}G_{m}^{o}(H_{2}O(l))}-\Delta{_{f}G^{o}(C_{12}H_{22}O_{11}(s))}-12\Delta{_{f}G^{o}(O_{2}(g))}$
$\Delta{_{r}G^{o}}=12(-394.36)+11(-237.13)-(-1543)-12\times0=-5797.75 kJ mol^{-1}$
より、$-5797.75 kJ mol^{-1}$となる。
3C・5(b)
標準生成ギブズエネルギーは、
$\Delta{_{f}G^{o}}=\Delta{_{f}H^{o}}-T\Delta{_{f}S^{o}}$
より求められるので、標準生成エンタルピー及び標準生成エントロピーを求めることを考えます。
標準生成エンタルピーは、燃焼反応式及び与えられた標準燃焼エンタルピーより、
標準生成エントロピーは、単体からの生成反応式及び与えられた標準モルエントロピーより、
算出し、上式に代入しましょう!
グリシンの燃焼反応式は、
NH2CH2COOH(s)+(9/4)O2→(5/2)H2O + 2CO2+ (1/2)N2
である。したがって、グリシンの標準生成エンタルピーは、
$\Delta{_{r}H^{o}(NH_{2}CH_{2}COOH(l)}=\frac{1}{4}(10\Delta{_{f}H^{o}(H_{2}O)(l)}+8\Delta{_{f}H_{m}^{o}(CO_{2}(g))}+2\Delta{_{f}H^{o}(N_{2}(g))}-13\Delta{_{f}H^{o}(O_{2}(g))}-\Delta{_{c}H^{o}})$
$\Delta{_{r}H^{o}(NH_{2}CH_{2}COOH(l)}=\frac{5}{2}(-285.83)+2(-393.51)+\frac{1}{2}\times0-\frac{9}{4}\times0-(-969)=-532.6 kJ mol^{-1}$
また、単体からグリシンを生成する反応式は、
2C(s) +(5/2)H2(g)+O2(g)+(1/2)N2(g)→NH2CH2COOH(s)
であるので、標準生成エントロピーは、
$\Delta{_{f} S^{o}}=\Delta{S_{m}^{o}(NH_{2}CH_{2}COOH(s))}-2\Delta{S_{m}^{o}(C(s))}-\frac{5}{2}\Delta{S_{m}^{o}(H_{2}(g))}-\Delta{S_{m}^{o}(O_{2}(g))}-\frac{1}{2}\Delta{S_{m}^{o}(N_{2}(g))}$
$\Delta{_{f} S^{o}}=103.5-2\times5.740-\frac{5}{2}\times(130.684)-205.138-\frac{1}{2}\times191.61=-535.633 J K^{-1} mol^{-1}$
となる。したがって、標準生成ギブズエネルギーは、
$\Delta{_{f}G^{o}}=\Delta{_{f}H^{o}}-T\Delta{_{f}S^{o}}=-532.6-298\times(-535.633)\times10^{-3}=-372.98 kJ mol^{-1}$
より、$-373.0 kJ mol^{-1}$となる。
3章D
3D・1(b)
完全気体の等温膨張の場合、ギブズエネルギー変化は、
$\Delta{G}=nRTln(\frac{p_{f}}{p_{i}})$
と表されます。今回与えられているのは体積なので、ボイルの法則により上式を圧力から体積に変換して用いましょう!
この過程のギブズエネルギー変化は、
$\Delta{G}=nRTln(\frac{p_{f}}{p_{i}})=nRTln(\frac{V_{i}}{V_{f}})$
$=6.0\times10^{-3}\times8.314\times298\times ln(\frac{52}{122})=-127.1 J$
より、$-127 J$となる。
3D・2(b)
定圧過程では、ギブズエネルギーを用いてエントロピーは、
$\left(\dfrac{\partial G}{\partial T}\right) _{p}=-S$
と表すことが出来るので、これを用いてエントロピーを算出しましょう!
定圧過程より、
$\Delta{S}=-\left(\dfrac{\partial \Delta{G}}{\partial T}\right) _{p}=-\left(\dfrac{\partial (-73.1+42.8T)}{\partial T}\right) _{p}=42.8 J K^{-1}$
よって、$42.8 J K^{-1}$
となる。
3D・3(b)
オクタンは液体であるから、圧力が変化した時のギブズエネルギー変化を表す式は3D・3(b)のようにはならず、
$\Delta{G}=V\Delta{P}$
となります。これを用いて、ギブズエネルギーとモルギブズエネルギー変化を求めましょう!
この時のギブズエネルギー変化は、
$\Delta{G}=V\Delta{P}=100\times10^{-6} m^{3}\times400 kPa=400 J$
より、$400 J$となる。
また、モルギブズエネルギー変化を求めるために、まずモル体積を計算すると、
$V_{m}=\frac{M}{\rho}=\frac{114.23 g mol^{-1}}{0.703 g cm^{-3}}=162.49 cm^{3} mol^{-1}$
である。したがって、モルギブズエネルギー変化は、
$\Delta{G_{m}}=V_{m}\Delta{P}=162.49\times10^{-6} m^{3}\times400 kPa=65.0 J$
より、$65.0 J$となる。
3D・4(b)
3D・1(b)と同様に、等温時の膨張変化における完全気体のモルギブズエネルギー変化は、
$\Delta{G_{m}}=RTln(\frac{p_{f}}{p_{i}})$
により算出できるので、これを用いて求めましょう!
$\Delta{G_{m}}=RTln(\frac{p_{f}}{p_{i}})=8.314\times500\times ln(\frac{100.0}{50.0})=2.881 kJ mol^{-1}$
より、$2.88 kJ mol^{-1}$となる。
最後に
いかがでしたか?
今回は、アトキンス物理化学(上)第10版の3章B~D演習問題(b)の解答及び解説をしてきました。
演習問題を沢山解いてテストや院試で高得点を目指しましょう!
もし、この記事の人気があれば他の演習問題の解説・解答に関する記事も増やしていきたいと考えています!
ぜひ、参考にしてみてくださいね!


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